同じレシピでも、豆で味は変わる
挽き目、お湯の温度、豆とお湯の比率、抽出時間をすべて同じにしても、使う豆が変われば一杯の印象は変わります。
華やかな香りを感じる豆、やわらかな甘さのある豆、すっきりした酸味の豆、深い苦味やコクのある豆。淹れ方で味を調整する前に、豆そのものが持つ個性があります。
だから、味の違いを確かめるときは、まず淹れ方をそろえることが大切です。条件をそろえると、豆を替えたことで何が変わったのかを感じ取りやすくなります。
豆の味を変えるもの

コーヒー豆の味には、さまざまな背景が重なっています。
- 産地:国や地域の気候、標高、土壌などによる違い
- 農園:育て方や収穫、精製方法などによる違い
- 品種:豆がもともと持つ香りや味わいの違い
- 収穫年度:その年の気候や作柄による違い
- 焙煎度:浅煎りから深煎りまで、火の入れ方による違い
同じ国の豆だから、いつも同じ味になるわけではありません。同じ農園や品種でも、年度や焙煎が変われば印象は変わります。
すべてを覚える必要はありません。まずは「豆が違えば、味も変わる」と知っておくだけで十分です。
まず感じてほしい、産地の違い
僕が豆による違いの中で、特に大きいと感じるのは産地です。
国内で作られる野菜でも、産地が変われば風味が違いますよね。コーヒーは育つ国が変わり、気候や標高、土壌も大きく変わります。その土地らしさ、いわゆるテロワールの違いが、風味にしっかり表れます。
もちろん、国名だけで味を決めつけることはできません。それでも、最初の飲み比べでは、産地の違う豆を選ぶと個性を感じやすいと思います。
産地の違う豆を淹れ比べてみる

味の違いを知りたいときは、産地の違う豆を二つ用意し、同じ条件で淹れてみてください。
- 豆の量とお湯の量をそろえる
- 挽き目とお湯の温度をそろえる
- 注ぎ方と抽出時間をそろえる
- 温度が少し落ち着くまで、ゆっくり飲み比べる
難しい言葉で表現しなくても大丈夫です。「こっちは軽い」「こちらは香りが強い」「この苦味は好き」といった普段の言葉で比べると、自分の好みが少しずつ見えてきます。
好みに合わない一杯も、ひとつの発見
いろいろな豆を飲んでいると、「これは好きだな」と思う一杯だけでなく、癖が強くて自分には飲みにくいと感じる一杯にも出会います。
でも、それは失敗ではありません。苦手な味が分かると、自分がどんな香りや酸味、苦味を求めているのかも見えやすくなります。
好みは人によって違います。同じ豆を飲んでも、強い個性を面白いと感じる人もいれば、落ち着いた味を選びたい人もいます。その違いがあるから、コーヒーは楽しいのだと思います。
自分に合う豆を絞るには

お店で豆を選ぶとき、産地や品種の名前を詳しく知らなくても大丈夫です。
かおゆたでは、まず苦味と酸味のどちらが好きかを聞きます。そこから、あっさりした味と、しっかりした味のどちらが好みかを尋ね、条件に合う豆を少しずつ絞っていきます。
「酸味は少なめで、しっかりした味が好き」のように伝えるだけでも、豆は選びやすくなります。詳しい伝え方は「コーヒー豆を買うとき、何を伝えればいい?」で紹介しています。
店主のひとこと
よくある質問
同じ産地なら、味も同じですか?
同じ産地でも、農園、品種、収穫年度、精製方法、焙煎度などで味は変わります。産地は味を知るための大きな手がかりの一つ、と考えてみてください。
初心者は、どんな豆から試せばいいですか?
まず苦味と酸味のどちらが好きか、次にあっさりとしっかりのどちらが好きかを考えると選びやすくなります。迷ったときは、その二つをお店で伝えてみてください。
豆の違いを感じにくいときは、どうすればいいですか?
産地の違う二種類を、同じレシピで淹れ比べてみましょう。香り、軽さ、苦味など、一つだけに注目すると違いを見つけやすくなります。
まとめ|豆を替えて、違いを楽しむ
コーヒー豆は、淹れ方と同じくらい一杯の味を大きく変える要素です。
- 豆の味は、産地、農園、品種、収穫年度、焙煎度などで変わる
- 最初は産地の違う二種類を、同じ条件で淹れ比べる
- 難しい言葉ではなく、好きかどうかを普段の言葉で比べる
- 好みに合わない豆との出会いも、自分の好みを知る手がかりになる
- 豆選びでは、苦味か酸味か、あっさりかしっかりかを伝える
豆を替えるだけで、いつものレシピからまったく違う一杯が生まれます。気になる産地を一つずつ試しながら、自分がもう一度飲みたいと思う味を探してみてください。

