蒸らしとは
蒸らしは、本格的にお湯を注ぐ前に、少量のお湯でコーヒーの粉全体をぬらして待つ工程です。
乾いた部分が残らないように、中心だけでなく粉全体へ静かに注ぎます。勢いよくかき混ぜる必要はありません。まずは全体がしっとりするくらいで大丈夫です。
なぜ最初に少しだけ注ぐのか
焙煎したコーヒー豆の中にはガスが残っています。粉にお湯を注ぐと、そのガスが外へ出てきます。
最初に少量のお湯をなじませて待つことで、そのあとのお湯が粉に触れやすい状態をつくります。蒸らしは、味を足す特別な技というより、本抽出へ入るための準備です。
ただし、時間を長くすれば必ずおいしくなるわけではありません。豆の状態や挽き目、注ぎ方でも味は変わります。まず一つの基準を決め、同じ条件で比べると違いが分かりやすくなります。
蒸らしなし・30秒・1分・1分半を飲み比べる

僕は、蒸らしなし、30秒、1分、1分半で淹れて、味の違いを比べたことがあります。
そのときは、蒸らす時間を長く置くほど、味があっさりした印象から、しっかりした印象へ変わりました。時間を取った方が、成分がよく出ているように感じました。
これは、僕が同じ条件で飲み比べたときの感覚です。どの豆でも同じ順番になるとは限りませんが、自分の好みを探す目安にはなります。
かおゆたの基準は40ml・1分

四つを比べた中で、僕には1分がちょうどよく感じました。濃さはありながら、豆の風味も分かりやすかったからです。
今は、豆10g・お湯160mlのレシピで、最初に40mlを注いで1分待ちます。そのあと60ml、最後に60mlと、三回に分けて注いでいます。
- 40mlを注ぎ、1分蒸らす
- 60mlを注ぎ、主に成分を引き出す
- 最後の60mlを注ぎ、濃さを整えて落とし切る
豆とお湯の量は「コーヒー豆とお湯の量はどう決める?」で詳しく紹介しています。
1分が正解ということではありません。まず1分で飲んでみて、軽くしたければ少し短く、もう少ししっかりさせたければ少し長くする。30秒ずつ変えると比べやすくなります。
粉が膨らむ理由
お湯を注いだときに粉がふくらむのは、コーヒーの中に残っていたガスが出てくるためです。焼いてからの日数や焙煎度、挽き目、保存状態などによって、ふくらみ方は変わります。
自家焙煎した新鮮な豆を使っているので、かおゆたの豆がまったく膨らまなかったことは、これまでありません。
ただ、よく膨らむことだけが、おいしさを決めるわけではありません。見た目は一つの手がかりとして、最後は香りと味で判断します。
膨らまなくても失敗ではない

以前、ほかで買った豆を挽いて淹れたとき、粉がほとんど膨らまなかったことが一度ありました。
いつものようなふくらみを想像していたので、そのときは「失敗した」というより、少し残念な気持ちの方が強かったですね。
それでも、膨らまないだけで淹れ方の失敗とは決められません。豆の状態によって見た目は変わります。そのまま最後まで淹れて、まず飲んでみてください。おいしく感じられたなら、それで大丈夫です。
店主のひとこと
まとめ|まずは40ml・1分から
蒸らしは、最初の少量のお湯を粉全体になじませ、本抽出へ入るための準備です。
- 豆10gなら、最初に40mlを注いで1分待つ
- 時間を比べるときは、ほかの条件をそろえる
- 僕の飲み比べでは、1分が濃さと風味のバランスをよく感じられた
- 粉のふくらみは豆の状態によって変わる
- 膨らむかどうかだけで成功・失敗を決めない
まずは1分で淹れて、一杯飲んでみる。そこから30秒ずつ動かすと、自分に合う蒸らし時間が見つけやすくなります。

