ハンドドリップは、何をするの?
ハンドドリップは、フィルターに入れたコーヒーの粉へ、自分の手でお湯を注いで抽出する淹れ方です。
基本的にすることは、とてもシンプルです。
- フィルターにコーヒーの粉を入れる
- お湯を注ぐ
- カップに落ちたコーヒーを飲む
細かな淹れ方やコツはいろいろありますが、最初から全部覚えなくても問題ありません。
まず一度やってみて、
「もう少し濃い方が好きかも」
「この香り、いいな」
と感じるところから、少しずつ自分の好みが分かってきます。
最初の一杯に、正解も不正解もない
初めてハンドドリップをすると、
「この淹れ方で合っているのかな」
と不安になるかもしれません。
実際、僕もコーヒーを淹れ始めたころは、何が正解で、何が間違っているのか、何も分かっていませんでした。
お湯を注ぐ速さが違う。
時間も少しずれる。
昨日と今日で、味が違う。
それでも、自分で豆から淹れたコーヒーを飲んだとき、
「コーヒーって、こんなに香りが良くて、おいしいんだ」
と驚いたことを今でも覚えています。
それまで飲んできたのはドリップコーヒーが中心だったので、自分で淹れた一杯の香りの良さが、とても新鮮に感じられました。
ただ、その一方で、コーヒーの味について詳しい知識がなかったので、
「これはおいしいけれど、本当に正解なのかな」
「もっとおいしくできるのかな」
と迷うこともありました。
でも今は、自分で飲んでおいしいと思えて、直感的に納得できたなら、それがその人にとっての正解だと思っています。
ハンドドリップは、正解がありません。
飲んでみて、自分がおいしいと感じたら、その一杯はちゃんと成功です。
実は、コーヒー屋さんでも、毎回まったく同じ味にはなりません
「プロなら、いつもまったく同じ味にできるのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
もちろん、お店ではできるだけ味が安定するように、豆やお湯の量、抽出時間などをそろえています。
それでも、気温や湿度、豆の状態、お湯の注ぎ方によって、味は少しずつ変わります。
同じ豆、同じ道具、同じレシピでも、毎回完全に同じ一杯になるとは限りません。
だから、おうちで少し味が違ったからといって、すぐに失敗だと思わなくて大丈夫です。
「今日は少し軽いな」
「昨日より香りを感じるな」
そんな違いに気づくことも、ハンドドリップの楽しみのひとつです。
毎回少し違うからこそ、自分の好みに近づけていく面白さがあります。
ハンドドリップの魅力は、味だけではありません

ハンドドリップの魅力というと、おいしいコーヒーを淹れられることを思い浮かべるかもしれません。
もちろん、それも大きな魅力です。
でも、実際に続けてみると、味だけではない楽しさに気づきます。
香りを何度も楽しめる
コーヒーの袋を開けたとき。
粉をフィルターへ入れたとき。
最初のお湯を注いだとき。
カップにコーヒーが落ちていくとき。
コーヒーの香りは、なんだか心を癒してくれます。
お湯を注いだ瞬間にふわっと立ち上がる香りに包まれると、忙しい朝や仕事の合間でも、気持ちが少しやわらぎます。
味だけでなく、香りに癒される時間も、ハンドドリップの大きな魅力です。
自分のための数分になる
お湯を沸かして、粉を用意して、ゆっくり注ぐ。
かかる時間は、ほんの数分です。
それでも、慌ただしい朝や、仕事の合間、家事がひと段落したあとにコーヒーを淹れると、不思議と気持ちが切り替わります。
何かを急いで完成させる時間ではなく、目の前の一杯だけを見る時間。
ハンドドリップは、コーヒーを作る作業というより、自分の気持ちを少し整える時間なのかもしれません。
少しずつ自分の味になっていく
最初はレシピを見ながら淹れていても、何度か続けるうちに、
「もう少し濃い方が好き」
「苦味は控えめな方が飲みやすい」
「この豆は、少しゆっくり淹れた方が好き」
と、自分なりの好みが分かってきます。
人によって好きな味が違うように、淹れ方にも絶対の正解はありません。
少しずつ自分の一杯になっていくところも、ハンドドリップの面白さです。
コーヒーの粉がふくらまなくても、慌てなくて大丈夫

ハンドドリップの写真を見ると、お湯を注いだときに、コーヒーの粉がふっくらと膨らんでいることがあります。
これは、焙煎した豆の中に残っているガスがお湯によって外へ出るためです。
新しく焙煎された豆ほど、よく膨らむ傾向があります。
ただし、膨らみ方は豆の種類や焙煎度、挽き方、焙煎してからの日数でも変わります。
なので、粉が大きく膨らまなくても失敗ではありません。
粉全体にお湯が行き渡れば、コーヒーの風味はしっかりと抽出されます。膨らみ方だけで判断せず、できあがった一杯の味や香りを楽しんでみてください。
失敗から学べる
思いどおりの味にならなくても、その一杯は失敗ではありません。次の一杯をおいしくするためのヒントになります。
少し薄ければ、次はコーヒーの粉を少し増やしてみる。濃く感じたら、お湯を少し増やしてみる。苦味が強ければ、少し早めに抽出を終えてみる。
一杯ごとに気づいたことを、次の一杯で試してみる。それを繰り返すうちに、自分の好きな味が少しずつ分かってきます。
思いどおりにならなかった一杯からも学べる。それも、ハンドドリップの面白さです。
道具は必要な時に買う

最初から道具を全部そろえて始めるのも、もちろん楽しいと思います。
ただ、何度か淹れていると、「これを使ったらどうなるかな?」「もっと注ぎやすいケトルが欲しい!」という気持ちが自然に出てきます。
そのときに必要な道具を一つずつ買い足しても、まったく問題ありません。実際に淹れてから選ぶ方が、自分に合った道具も見つけやすくなります。
道具の種類を知りたい方は「ハンドドリップに必要な道具」も参考にしてください。
豆選びに悩んだら
豆選びに迷ったら、コーヒー屋で気軽に相談してみてください。「酸味は苦手」「しっかりした味が好き」「ミルクを入れて飲みたい」など、普段の言葉で十分伝わります。
また、同じ銘柄のコーヒー豆でも、焙煎する店によって味のキャラクターは変わります。苦味や香り、甘さの感じ方が違うので、いろいろなお店の豆を試してみるのも面白いですよ。
選び方に迷ったときは「最初のコーヒー豆の選び方」も参考にしてください。
よくある質問
ハンドドリップは初心者でもできますか?
はい。基本は、フィルターにコーヒーの粉を入れて、お湯を注ぐだけです。
最初から完璧な淹れ方を目指す必要はありません。まずは一度淹れてみて、味を確かめながら少しずつ調整していきましょう。
ミルは最初から必要ですか?
必要ありません。
コーヒー豆を購入するお店で、ハンドドリップ用に挽いてもらえば、粉の状態から始められます。
淹れることが楽しくなり、挽きたての香りも楽しみたくなったときに、ミルの購入を考えても遅くありません。
専用の細口ケトルがないと淹れられませんか?
家にあるケトルやポットでも始められます。
細口ケトルは、お湯の量や注ぐ位置を調整しやすい道具ですが、最初から必須ではありません。
粉がきれいにふくらまないのは失敗ですか?
必ずしも失敗ではありません。
粉のふくらみ方は、豆の鮮度、焙煎度、挽き方などによって変わります。ふくらみだけで、おいしさや成功を判断しなくて大丈夫です。
最初はどんなコーヒー豆がおすすめですか?
迷ったときは、お店で「飲みやすいおすすめはありますか?」と聞いてみてください。
酸味が苦手、苦すぎない方がよい、ミルクを入れたいなど、好みを一言添えると、より選びやすくなります。
まずは一杯、淹れてみよう
ハンドドリップは、難しい技術を完璧に覚えてから始めるものではありません。
コーヒーの粉にお湯を注ぎ、香りを感じ、できあがった一杯を飲む。
最初はそれだけで十分です。
少し薄くても、少し苦くても、それは失敗ではありません。
「次は少し変えてみよう」
と思えたら、その一杯はもう次につながっています。
道具も、知識も、少しずつ増やしていけば大丈夫。
まずは、自分のために一杯淹れてみてください。
そこから、コーヒーを楽しむ時間が始まります。

