抽出時間を計る理由

抽出時間を計る一番の理由は、毎回の条件をそろえやすくするためです。

同じ豆とレシピでも、ある日は2分ほど、別の日は5分ほどかかっていたら、味が変わった理由を見つけにくくなります。おおよその時間を決めておけば、いつもの味と比べられます。

タイマーは、上手に淹れられたかを採点する道具ではありません。味を振り返るために、数字を一つ残しておく。僕はそんな感覚で使っています。

かおゆたの基準は約3分

かおゆたの基本レシピは、豆10g・お湯160ml・湯温89℃です。最初の注湯と同時にタイマーを動かし、約3分で落とし切ります。

  1. 1投目:40mlを注ぎ、1分蒸らす
  2. 2投目:60mlを注ぎ、約1分待つ
  3. 3投目:60mlを注ぎ、最後まで落とす

この流れで淹れると、だいたい3分前後になります。秒単位で合わせるのではなく、いつも同じくらいの時間に収まっているかを見ています。

3回の注ぎ方は「コーヒーは何回に分けて注ぐ?」で詳しく紹介しています。

早いとあっさり、遅いとしっかり

抽出時間の早いコーヒーと遅いコーヒーを飲み比べる準備

僕が同じような条件で淹れたときは、抽出が早いとあっさり、遅いとしっかりした味に感じます。

  • 早く落ちたとき:軽く、あっさりした印象
  • 遅く落ちたとき:濃く、しっかりした印象

ただし、時間だけで味が決まるわけではありません。豆の種類、焙煎度、挽き目、注ぎ方など、いくつもの条件が重なって抽出時間と味が変わります。

そのため、「3分なら必ずおいしい」「3分を超えたら失敗」とは考えません。時間と一緒に、実際の味を見ます。

抽出時間は何で変わる?

抽出時間へ影響しやすいものの一つが、コーヒーの挽き目です。

一般に、粉が細かいとお湯が通りにくくなり、抽出はゆっくり進みます。粉が粗いとお湯が通りやすくなり、早く落ちる方向へ進みます。

ほかにも、粉の量、フィルター、注ぐ勢い、粉の状態によって時間は変わります。少し違っただけで慌てて全部を変える必要はありません。まずは一杯飲んで、いつもの味と比べます。

挽き目と味の関係は「コーヒーの挽き目で味はどう変わる?」で紹介しています。

極端に遅いときは挽き目を確認する

細かいコーヒー粉から一滴ずつゆっくり落ちる様子

いつもより少し遅いくらいなら、僕はそれほど気にしません。ただ、極端に落ちるのが遅いときは、挽き目が細かすぎる可能性を考えます。

その場合も、すぐにいろいろな条件を変えるのではなく、次の一杯で挽き目を一段階だけ粗くします。一つだけ動かすと、何が味に影響したのか分かりやすくなります。

時間はあくまで目安

タイマーの数字より、淹れたコーヒーの味を確かめる時間

僕は毎回タイマーを使います。それでも、抽出時間を一番重要な条件だとは考えていません。

約3分は、味をそろえるための目安です。少し早くても、少し遅くても、飲んでおいしく感じられたなら、それで大丈夫です。

数字を計ることと、数字に縛られることは違います。基準があるからこそ、いつもと違う味にも気づきやすくなります。そのうえで、自分がおいしいと感じた一杯を選べばいいと思います。

店主のひとこと

まとめ|3分を正解にしない

抽出時間は、いつもの一杯を安定させるための分かりやすい目安です。

  • かおゆたでは、淹れ始めから約3分で落とし切る
  • 毎回タイマーで計り、抽出の基準をそろえる
  • 僕の感覚では、早いとあっさり、遅いとしっかりした味になる
  • 極端に遅いときは、挽き目が細かすぎないか確認する
  • 3分ぴったりより、飲んでおいしいかを大切にする

まずは約3分を目安に淹れてみてください。時間を記録し、味を覚える。その繰り返しで、自分にとってちょうどよい抽出が見つかります。